長い夜


この想いは鉄のように重く、草木のように深くめぐり、私の動きを止めてしまう。


いつから私は彼が好き?
記憶もないほど遠い出来事…

彼との出会いは私の記憶のには保存されていない。
気が付いたら傍にいて、気が付くたびにドキドキさせる…まるで小悪魔━━━

卒業後、彼と会う機会はめっきり減ってしまった…
誰よりも早く社会に出てしまった彼、ただの女子高生の私…
あまりにも不似合いになっていく2人の立場。

「ご飯よー」
「はーいっ」
━━━
「ヒカルくん、今何とかって大会出てるんですって?」
ドキッその名を言われただけで私の心臓は鼓動を速める…
「何で知ってるの?」
「今日ヒカルくんのお母さんとスーパーで会ったのよ」
「ふぅ〜ん…」
何て素っ気ない返事。
どんどん離れていってしまう彼を想うことが辛い…

『カチカチ、カチ、カチ…』
ヒ・カ・ル…
彼の名前に合わせてシャーペンをノックしてみる。
━━━このままハートを描いて塗りつぶすとっておまじないがあったよーな
『カチ、カチ…』
自分の名前分もノックして、ノートに大きなハートを描いた。
長くのびた芯が微かにしなる。
「折れちゃいそう」
0.5mmの線が少しずつ紙を黒くしていく。
「…これ何のおまじないだっけ?」
頬杖をついたとき、紙とシャーペンの間に張れた糸が高く舞い上がった。
「あ…」
一瞬の気の緩み、一瞬の疑問、こうして私の恋は終わるということだろうか?
折れた芯がノートの上を転がる
「砕けた抜け殻の私を暗示してるみたい…」
ぼそりと言った自分の一言に急に不安がこみ上げる。
椅子にあずけた身体を持ち上げ、そのままベットへと倒れた。
「あー、失敗したー…」
おまじない一つでこんなに傷つく私。弱い私。
━━━こんなんじゃ、想いを伝えることすら出来ない。

魔法が使えたら、人の心がのぞけたら、私はきっと彼を見る。
心が知りたい。想いを、伝えたい。


長い夜がまた始まる…


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さて、前回までの続きじゃなくてごめんなさい。
「夢のこと」は途中で止まっている状態なので頭が動き出したらちゃんと書いてupします!
色々整理してたらこんなモノが発掘されたのでupしてみました。
どうでしょう?ちょっとブルーなあかりですが。楽しんでいただけたならこれ幸い


(2005.6.18up)