出会い

あいつと会ったのは雨の降る道ばただった。

最初は何なのかよくわからなかった。
薄暗い中に赤いもんが見えたんだ。
近づいて見ると人だとわかった。
オイラより7、8歳下くらいの少年が雨に打たれながらオイラを苦しそうに見上げた。
あまりにも周りが赤いことが気になると、少年の右手が真っ赤に染まっていることに気がついた。
少年に降り注ぐ雨がその血を一層遠くまで運んでいた。
オイラが覗きこむと少年はそのまま目を閉じた。どうやら気を失ったようだ。
「おい、大丈夫か?」
返事を期待もせずにオイラは少年を起こした。
その時何か金属が土に擦れる音がした。
そちらに目をやると少年の手には割と大きな剣が握られていた。
気を失っている筈なのにずいぶんしっかりと握られている。
大事な物なのだろうと思い、剣に少し気を付けながら少年を負ぶって家に向かった。

家に着いて少年を降ろすと“カシャン”という音と共に剣が落ちた。
踏むといけねーから剣を棚の方によけた。
「…とりあえず、手をどうにかしてやんなきゃな。」
ずぶ濡れの少年の頭を布で拭きながら血だらけの右手を見た。
出血が酷いから布をぐるぐると巻いてやった。
「さて、こんな濡れてんの着てたら風邪ひいちまう。」
父ちゃんの服を奥から引っ張り出して少年に着せてやろうと思った。
「よいしょ。」
ホウの腰ひもをほどき上着を脱がしたときオイラは何かおかしな事に気づいた。
少年は少年じゃなかった…。
「あれ?!」
一瞬慌てたがいつまでもずぶ濡れにしとくわけにはいかねー。
オイラは目を伏せながらそっと服を脱がし、体を拭いてやった。
―やましいことしてるわけじゃねー!
そう自分に言い聞かせながら…

時々苦しそうな表情をする14,5歳の筈だった少年が、どうにも女に見えるようになっちまってオイラは戸惑った。
「ま、いろいろ事情があるんだろうな…」
絞った布を少年…いや、少女の額において布団を首まで上げた。
「…さて、起きたときの為になんか作っとくか。」
不思議な客人に胸がわくわくした。

この日オイラは陽子に出会った。
この先常にオイラを驚かせてくれるとはこの時思いもしなかったがな…。


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初十二国記SSです。楽俊ぽく書けてるかちょっと不安です;
「月の影〜」に沿って書いたつもりです。可笑しい所ありそう・・・

(2004.12.1up)